【前回の記事を読む】昔から変わらない、マンションの資産価値を決める3大条件!

第一章 資格試験への取り組みと周辺事情

Jは定年後、マンションの運営・管理に関心を持ち始めていたが、知識面の不足を感じていた。

それまでの一五年間において五回も理事長を引き受けていた。これは組合員の中でも群を抜いていた。二〇一四年には、大規模修繕工事の時に当たり、理事長でもあったので、過去とは別の方法を考えていた。大規模修繕工事において、数社から見積りを取り、比較検討することを理事会で提案する。

具体的には

・今までの発注会社

・当マンションの施工会社

・理事会が探してきた会社  

以上の三社を比較することになった。

見積りの結果、額に大差はなかった。五〇万~一〇〇万円の範囲は数千万円の工事からすると無視して良い額といえた。

そのため、各社と個別相談に入る。「貴社で体験された中で住民の方に喜んでもらった無料サービスはありませんでしたか」と質問する。

三社のうち一社から「期間を限定して、皆さんの家の粗大ゴミを出してもらい、無料で回収すると大変喜んでいただいた」という回答があった。ほかの二社からは具体的な話もなく、結局、積極的に提案してもらった会社に理事会での承認のうえ、決めることになった。

もう一つ、理事会で提案したことがある。それは管理人の勤務時間短縮の検討である。当時の午前九時~午後五時を午前九時~一二時の三時間に変更する件についてだった。背景には、管理人の仕事はほぼ午前中に完了し、午後は暇になることをJは友人から再三聞いていた。問題は、午後に何か支障が生じた時だが、小型マンションのため、ほとんど支障ないという。

可能性を判断するため、理事会での検討に入る。この場合のメリットは管理費(業務費用)が半減することにあった。委託会社への支払いの管理人分の費用が三分の一になるからである。つまり各戸の支払う管理費に対してまとまった額の減額になることだった。

組合員の賛成多数、理事会の承認のうえ、その年の夏から実施することになった。主婦の皆さんからは大好評のようだった。反対意見も出たが、それは住民の一人によるものだった。いつも管理人室の窓口で、午前一〇時~一一時ごろの一時間ほど、話し込んでいたためだったようだ。ほかの住民の多くは知っていた。

しかし今回の変更は管理人の勤務時間のことで、しかも午前中は今まで通りなのである。大きな問題にはならないことがわかったのだろう。管理人の勤務時間帯変更後もしばらく続いていたが、半年もするとそれもなくなっていった。