【前回の記事を読む】2020年1月17日…管理業務主任者試験「合格発表日」にハガキが届かなかったワケ

第三章 資格を取得する意味

まずJとしては、資格を取得することは委託会社の担当者と同じ知識レベルにいるということを相手に知ってもらうことが肝要だった。結果、対等に議論する姿勢を持って臨むことと考えていた。

担当者からすれば、現時点では理事会のメンバーは専門知識を持ち合わせていないことを知っているし、また、ともすれば大して必要とも考えていない人たちに、どう対処するのかは個人差が出るところだろう。

ほとんどは発言した理事の意見には反対せずハイハイと答え、この一、二時間を終わらせることを優先するのは無理もないことだと思う。ベテランが担当すれば、理想の意見をよいしょしてリラックスさせ、最高の井戸端会議にするのだろうが……。

原因は、組合員一人一人の考え方、変化を求めない言動、専門知識もないのでついその場で日頃の思い付きを発言し、それを検討するという姿勢にあるのだろう。

また、Jにしてみると、「組合員一人一人の責任は、管理費と積立金を滞納しないことであり、それさえ守っていれば、文句はないのでは……」と思うのも理解できる。一戸建てだとすべてが自己責任なので、自分のこととして考えるが、マンションは、共同生活体のため、敷地内の共用部分は住む組合員全員の責任部分になるというところが、一戸建てと違い、避けて通れないことになる。

現実、マンションの組合員は、現役で仕事中の人、リタイアした人、単身の人、シングルマザーの人、後期高齢者の人、とさまざまである。理事会には、このさまざまな立場の人をまとめていく仕事も大切な項目の一つとなっている。生活様式の異なる人たちが集まるとトラブルになることもある。だからこそ知識のある理事がいて、バランスよく意見を聞き、伝える、そして解決していく、というのがものの順序である。

気の遠くなる作業ではあるが、それができて、これらの対応や内容が月決めの理事会議事録に載れば、無関心でいる人たちへの刺激になるとも考えられる。