全国展開していたある外国語学校はテレビ広告も派手にやっていたので知名度は高く、知らない人はいないほどだった。

私の授業を履修していた学生に授業の後で「就職はどうした?」と聞いてみると「大分早く内定をもらっていたのだが、急にレポートを出せと言われたので少し遅れたところ、内定を取り消されて困っている」という。

内定先を聞いてみると右記の外国語学校であった。仕事内容に外国人講師の管理や外国留学希望者の手続きのサポートなどが含まれていたので、好きな英語も活かせて自分にピッタリだと思って応募したのに……と困り果てた様子だった。

実はその外国語学校については他大学の学生であったが、私の友人の娘さんも全く同じ被害にあっていることを聞いていたので就職部(当時)に問い合わせてみると、青学でも数人が被害にあっており、早大や慶大でも被害学生が出ているので大学間で対策を協議しているということだった。

結局その外国語学校は翌年から大学への求人募集は禁止となった。その後講師に対する給料未払いなどでもニュースになっていたので、まともな組織ではなかったのかもしれない。学生の就活のチャンスさえつぶしてしまうその外国語学校はブラック企業の先を行っていたのかもしれない。

話は変わるが、秋山ゼミでは就活で忙しいという四年生に対しても比較的厳しい出席管理を行った。ゼミを四回(三年生は二回)休んだら落第にした。休む(んだ)時にはその理由を具体的に書いた届けを求めた。その代り早退と遅刻は認めた。

教員が「就活は大変だね」などと理解を示すと出席する学生が激減してゼミは開店休業になりがちである。私は基本的にはゼミを取るか就活を取るかという姿勢でゼミの運営をした。

モティベーション維持のために、例えばゼミ生に学部の懸賞論文に応募することを勧め、それを卒論(四年生)や小論文(三年生)としても認めることにした。懸賞論文で入選か佳作に選ばれると、『懸賞論文集』に「全文」(入選のとき)か「概要」(佳作のとき)が掲載され、賞金ももらえるので大部分のゼミ生が応募した。

論文を書くことは非常にいい勉強になるので就活にもつながる点が少なくなかったのではないかと考えている。