乙姫は、マザーの中で眠りについている6人の主人を目覚めさせた。緊急事態である。

「ピー───プチ」という音ともに6人の主人が画面に出てきた。乙姫は浮遊惑星の状況を説明する。

織田が「乙姫、浮遊惑星を画面に映し出せるか」

乙姫が「レーザー光線を照射していますが、まだぼんやりとしか映りません。重力波望遠鏡で影だけなら映し出すことはできます。大きさは土星ほどありますが、質量は大きさの割には小さいので岩石は少なく、氷と液体ガスでできていると思われます。問題は、本体の惑星より、その外側を回っている月ほどの衛星軌道が心配です」と説明。

星野が「乙姫、惑星と衛星軌道は正確に割り出せているのか」

「計算できていますが、真っ直ぐではなく微妙にカーブして飛んでおり、しかも周りの衛星の引力で取り巻きのガスに電子雲が発生しており、近づくと強力な雷のような電流が発生し極めて危険と思われます」

堀内が「乙姫、完全に回避するのに最善の方法は何か?」

乙姫は、浮遊惑星の軌道を正確に割り出し、回避行動をとる計算を始めた。前方にある4つのエンジンを噴射して1時の方向に2度だけ上昇させる。続いて浮遊惑星に引っ張られる9時の方向に全エンジン噴射で、3時の方向に逃げきれば回避できそうである。