杳子が東京から転校してきたのが中二の秋だった。秋が煮えたような、ぬるっとした春先のような陽気と、季節感を忘れてしまいそうな日だったことを、修作は妙にくっきりと覚えている。杳子のまだなれない学校生活になにかと冗談を言ったりして話しかけ、きまわしをした。修作には以前からそんなところがあった。小学生の時も、転校してきた男子生徒に真っ先に近づき同じようなことをした。高校受験の挫折まではわりあいに楽しい子…
[連載]ノスタルジア
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小説『ノスタルジア』【第2回】森下 修作
芸術肌の少年の決意「来年、必ず受験をして、君に告白します」
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小説『ノスタルジア』【新連載】森下 修作
【小説】アトリエは「廃屋寸前の破れ家」男が過酷な環境で創作を続ける理由
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