空港での親切な出迎えにはご注意

これは複数の長期海外駐在の経験者から聞いた話です。

日本の空港ではあり得ない、起こり得ないと思われ、また団体客ではまず起こらないでしょうが、個人または二、三人の旅行で、それもホテルなどへ空港での出迎えを依頼してある場合に注意すべきことです。どういうことかと言いますと、スーツ・ケースの見えやすいところに、大きく英語で自分の名前を貼り付けている人を見かけます。これはラゲージ・クレーム(預けた荷物の受け取り場所)で自分の荷物を見つけるには有効ですが、そのあとに、とんでもない落とし穴が待っていることがあります。

少人数または個人で旅行されている場合、預けた荷物を受け取って税関検査も無事通過し、出迎えの人たちが大勢待っているロビーに出てくると、出迎えは頼んであるもののその土地に知り合いのいない人は、きょろきょろしながら出迎えの人たちが掲げている名前の中から自分の名前を探すでしょう。もしそのとき、たどたどしい日本語で「○○サンデスネ、オムカエニキマシタ」と言われたら、あなたならどのように対応しますか。

まずほっとして、「サンキューベリーマッチ」と言うかあるいは「△△ホテルの出迎えですか」と尋ねる人が多いでしょう。そうすると彼(彼女)は、

「ハイソウデス、オムカエニキマシタ。オニモツワタシガモチマス。クルマ、チュウシャジョウニアリマスカラ、ソコマデイキマショウ」

「キョウノフライトハ、ドウデシタカ」

などと、いかにも親切な出迎え人を装って、一緒に歩き、車への乗降場所まで来ると、

「クルマハ、ホラ、アソコニアリマス。イマトッテキマスカラココデマッテテクダサイ。ニモツハワタシガクルマニツンデオキマス」

ここでも「重い荷物を自分で運ばずに済んでよかった。親切な人でよかった」と思う人が多いでしょう。そしていくら待っても車も荷物も来なくて、騙されたと気が付いたときにはすでに遅し、です。

教訓

この場合、彼らの手口はと言いますと、スーツ・ケースに書いてある名前を見て、その人の様子から団体客か否か、出迎えの有無などを見て判断し、ダメもとで声をかけるようです。自分の荷物を初めて会った人には絶対に預けてはいけませんし、本名は誰でも読める字(英語など)ではそのまま記さないほうが無難です。

この事例でも、最後のところで「荷物は自分で見ているから、車を持ってきて」と言えれば、一時間くらい時間を損するくらいで済んだでしょう。あるいは「一緒にクルマまで行きます」と言えれば、被害はなかったでしょうが、このケースでは別のトラブルにもなり得ますので要注意です。

日本人は、外国で見知らぬ人からでも親切にされるとすぐ信用してしまう傾向があるようですので、ご注意を。また女性が多く遭遇するようですが、単独あるいは少人数の旅行で、初めは親切そうなドライバーだったのに、車に乗って走り出した途端に凶暴なオオカミに変身し、悲惨な目に遭わされたという話も複数の国で耳にしました。