坂崎浩介と会うのは大学の追いコン以来だから三年ぶりかもしれない。ちょうど交通事故に遭う少し前に会ったきりだったはずだ。久しぶりに心が躍るような少年時代の感覚を思い出した。浮足立っている自分がそこにいた。

大学の近くにある、昔よく行った洋風居酒屋で待ち合わせた。店は同じ場所にそのままあった。色々な話をした場所だった。

タケルが入ると店内は昔のままほどよく客が入っていた。先に来ていた浩介が奥の席で大きく手を振った。あの頃と変わらぬ彼がそこにいた。懐かしさでいっぱいになり、タケルはうれしさで笑顔になった。急に数年時が巻き戻されてしまう。仕事も悪夢も浩介の顔を見て忘れてしまえたら……。

「久しぶり。待たせて悪い」

タケルは頭を下げて浩介の向かいに座った。

「いや、来たばかりだ。早く終わったから。久しぶりだなあ。で、どう? そちらは」

浩介が言いながら煙草に火を点けた。

「良くないね、しんどいばかりだ」

タケルはネクタイを解くと、少したたんでバッグに入れた。首周りがすっきりした。

「この前に会ったのはいつだったかな」

浩介は懐かしい笑みでジョッキのビールをお代りした。