〈自宅に戻ってから〉

自宅に戻り、まずはこれから私たち夫婦がこのまま継続するのか、別れるのか、それについては、彼は、

「別れたくない」

と言いました。お腹に子どももいる。いま別れることは最善の策ではないのかもしれない。彼も反省している(ように見える)。私は、子どものためにも、もう一度だけ頑張ってみようと思いました。

それから、いままで通りの生活が始まったわけですが、彼は浮気事件についてまったく持ち出さないのです。気まずさからなのか、悪いと思っているからなのか、何が何だかわかりませんでしたが、こっちのほうが悶々と日々を過ごしていました。

私の思う「普通」は、これまでのことを反省し、これからどうすることが、私がもう一度彼を信用できる最善の策かを提案してくるぐらいの行動です。

何も言わないことが、果たして反省なのか。本当に、何事もなかったかのような日常が戻ったのです。あれは夢だったのかと思うほどに。

たまに私が浮気のことを持ち出すと、面倒くさそうに、

「もう終わったこと。もうしない」

と言うだけ。それについて、何のコメントもない。むしろ、いつまで言っているんだ、しつこいとでも言わんばかりの対応。

このことは、いまでも私の中では解決はしていません。彼から、誠意のこもった対応をしてもらっていないからです。「もう終わったこと」なのは、夫だけ。私の中ではいつまでも終わってはいない。

これだけ傷つき、体力も精神力も使ったこの出来事は、彼の誠意ある対応がないままにいまに至っています。

この出来事は、私が彼から受けた、最初の重大な心の傷となっていまも残っています。

※本記事は、2021年6月刊行の書籍『カサンドラ症候群からの脱却』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。