〈出会い〉1991年

夫とは、私の会社の同僚の友人という形で知り合い、1年半のお付き合いの後、結婚しました。もちろん、幸せになるために結婚しました。子どもたちと一緒に温かい家庭を築くことが目標でした。1年半のお付き合いの中でも、私は特に彼に違和感を持つことはありませんでした。いま思えばなんですが、結婚に関して前進する手続きはすべて私がやりました。

・結婚するまで二人で積立する

・家具や生活用品を買う

・結婚式の日取りを決める

・新婚旅行の行き先を決める

・結婚式場、式の内容を決める

・招待する方々を決める

などなど、すべて私が決めました。私が「やらせて」と言ったわけではなく、彼がやろうとしなかったからです。

そのころは、彼は地元ではなく、ほかの地方で働いていたので、距離が離れているせいで、これらの準備に興味がないのだと思っていました。だから私も、彼が結婚について興味を示さないことをまったく気にしませんでした。恐ろしく鈍感だった自分に驚きます。

〈妊娠中〉1996年

結婚から約3年、私たちはお付き合いしていたころと変わりなく、二人だけで新婚時代を楽しく過ごしました。私は、そろそろ子どもが欲しいと彼に伝えました。

夫は、「父親になる自信がないから、子どもはいなくてもいい。だけど、お前が欲しいと言うなら子どもを持ってもいい」と言いました。

「親になる自信なんて、最初は誰もないんじゃない? 生まれてからだんだん自覚が出るんでしょ? 二人で協力して子育てすれば大丈夫! 頑張ろう!」

こんな話をし、私は間もなく妊娠しました。このころからでしょうか。私の中に少しずつ、少しずつ、小さな違和感が芽生え始めたのは。

まず最初に、夫は私の妊娠を聞いたとき、それほど喜ばなかったのです。私の勘違いかなと、そのときは思いました。実は嬉しいけれど、きっと照れているんだ。初めてのことだし、戸惑っているに違いない。私はそう思いました。

その後、母子手帳を見せて話したり、健診での様子を聞かせたりしましたが、どうも彼の反応が薄い。だけど、彼がすごく気にしてしつこく言ってきたことが一つだけありました。

「子どもに障害がないか調べてほしい」

彼が一番気になっていたこと。そんなもんかなぁ、初めての子どもだし、ナーバスになっているのかもしれないと思いました。子どもができて嬉しいより、障害のない子どもが生まれてくるかが気になる。

感覚が違うなとは思いましたが、このときもそれほど気にせずに「そんなもんなのかなぁ」という感じで過ぎて行きました。そして、私が妊娠4ヵ月を迎えたころ、最初の夫婦の危機がやって来るのです。