次に、「終身雇用」ではなくなる以上、自分の専門分野はこれまでのように一つではなく複数持つようにしていく必要があると考える。いま新しい働き方として「副業」「ダブルワーク」、またテレワークによる「兼業」が注目を浴びている。

これらはまだ単に収入を補うという意味合いが強いが、これからは自分の人生を守る「保険」の意味合いでより前向きに、いまの仕事以外の分野にも取り組んでいく必要があると考えている。

いまや「人生100年時代」と言われ、働くことができる健康年齢も延びている。そうしたなか、20代のときに始めた分野の仕事がそのまま存続すると考えるのは無理がある。

たとえば、私が働いてきた平成の25年ほどの間でも産業の栄枯盛衰があった。平成の初めは、銀行業が圧倒的に強く、世界の株価時価総額ランキングでも上位を日本の銀行が占めていた。

だが、いまはマイナス金利などによって国内の個人預金業務単体では銀行としても割が合わず、預金口座管理料の徴収もすでに一部の銀行では導入されるというように、25年ほど前は想像すらできなかった展開となっている。

ほかにもかつて職業として存在したワープロ入力業務がパソコンの浸透とともに消えていったし、いまでは単純な翻訳ならば、スマホでネットの翻訳サイトにアクセスすれば無料でできるようになってしまった、といったことを考えれば「保険」を厚くしておいたほうがよいからだ。

このように自分の人生に「保険」をかけるという意味合い、また、自分の潜在的な可能性を発掘するという意味でも、専門分野を複数定め、その分野での能力、技能などを磨くことが大切だし、もし、必要があれば、大学や大学院、専門学校などで学び直してもよいのではないのだろうか。

なお、いまではこうした従来型の学校に「通う」という選択肢だけでなく、オンラインで日本だけでなく世界の有名な大学の講義を無料で見ることができる。

いわゆる「MOOC(Massive Open Online Courses)」というものだが、日本の大学のものだけでなく、英語圏まで視野を広げればイギリスのオックスフォード大学やアメリカのハーバード大学といった名門大学の講義も無料で見ることができる。

最近よく目にするようになった言葉に「リカレント教育」という横文字があるが、簡単に言えばまさにこうした「学び直し」である。

そして、今後はこうした「リカレント教育」「学び直し」をしないと世界と歩調を合わせていくことはできないと考える。

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『日本が没落した3つの理由――そして復活への道』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。