私はなぜか心菜さんに対して、この人は悪い人ではない、この人も犠牲者なんだと、むしろ気持ちをわかり合える者同士のように感じた。

〈心菜さん、いきなりでごめんなさい。このメールの内容は、主人には知らせないでもらいたいのですが――〉

――もし私が主人を訴えたら、あなたと主人とのことを証言していただけますか? つまり、あなたを訴えるのではなく、主人を訴える。その際に、あなたに証人として、ご協力いただくことが可能かどうかということです。

昨日は一方的に訴えると言いましたが、心菜さんを訴える意味はあまりないような気がします。心菜さんが主人と知り合われた頃、私は主人の母親の介護をしており、妻というよりも家政婦でした。私は籍が入っているだけで……主人の本命は別にいると思います。それが心菜さんではないとなれば、私と心菜さんは多少立場が違うにせよ、ある意味、同じ被害者といっていいのではないでしょうか。

私も、もう結婚して長いですが、子どもたちも大きくなりましたし、いい加減主人のわがままに付き合うのに正直疲れています。主人に自分のしていることの罪の重さを、きちんと気づかせないといけないと思っています。

よく考えてからで構いません。

お返事をお待ちしています。

それから、ひとつ伺いたいのですが、主人は自分を何歳だと言っていましたか? 心菜さんはおいくつですか? お答えいただけますか? 私は四十四歳で、主人とは一回り違いです。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『夫 失格』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。