私が約20年前に医学部で学び、現在でも一般的に行われている「カロリー制限」の治療とは異なる考え方で、最初は半信半疑でしたが、「糖質制限」により大半の患者さんがそれほど無理なく体重が減少し、血糖値の改善も認めます。私は「ダイエット入院」という名のもとに一週間の「糖質制限」の教育入院を行い、これまで1000人以上の患者さんの肥満改善に成功しています。

私が指導している「糖質制限」の内容に関しては、西東社で2021年4月に発刊された『知れば知るほど面白い 糖質の教科書』に詳しく書いていますので、ご興味のある方は、そちらもご覧いただければと思います。

「糖質制限」による食事療法のみで、糖尿病や高血圧の薬を飲まなくてよくなる人が多く、医療費削減にはかなり効果的だと思います。ただ、普及が滞っている原因としては、一般的な医師の柔軟性の欠如によるところも大きいと思います。薬には副作用もあり、飲まなくてよいなら、それに越したことはないと思いますので、読者のみなさんの中で生活習慣病のある方は「糖質制限」に関して、ご自身で勉強されてみてはいかがでしょうか。

最近、ジェネリックという言葉を耳にすることが多いと思います。ジェネリックとは、先発の薬のゾロ品であり、安価であることを売りにしています。ジェネリックは薬効が同じなのに、カプセルなどの素材のコストを下げることで薬価自体を下げています。

国も医療費削減のために、ジェネリックを推奨しています。また、医師の収益に関わる処方箋ですが、処方箋代は6種類以下の薬を処方した方が7種類以上の薬を処方するよりも高くなっており、国は医師の処方を減らすようにしているのだと思います。ただ、それでも薬の処方は減る気配がありません。どうしてでしょうか?

その原因はさまざまですが、日本の医師の専門性の細分化もからんでいると思います。「消化器内科」「循環器内科」「糖尿病内科」「整形外科」「脳神経外科」など複数の診療科を受診し、それぞれから同じような薬が出て、それを何の疑問もなく飲んでいる患者さんを時折見かけます。これでは薬の副作用も心配ですし、たとえジェネリックにしたとしても、医療費がいくらあっても足りません。薬を内服されている読者の方は、一度ご自分が飲んでいる薬を見直してみましょう。

また、製薬会社の利益目的に医師が乗せられているという点も否めません。生活習慣が改善して薬が売れなくなってしまっては、売り上げが落ちてしまいますから、当然、製薬会社は医師たちに薬の処方を勧め、元来素直で勉強のできる医師たちは、何の疑いもなく、多数の薬を処方するという社会構造もあるかと思います。