「えッ!」何を言っているのか分からない。「いつも一緒に居たいです。あなたを愛しているのです。抱きしめてキスしたいです。僕の恋人になって下さい!」

私はびっくりして言葉が出ない。……少し落ち着いてから、

「待ってください。私は離婚して、まだ一年です。考えられません。恋人なんて……」

「僕はあなたを知って、半年です。見るだけは嫌です。これからの時間を一緒に生きてほしい。僕は諦めません!」

「ありがとうございます。今井さんと居ると楽しいです。でも今井さんなら素敵な女性がたくさんいると思います」

「僕はあなたがいいのです。ゆりさんを知ってから自分の気持ちを温めてきました。残りの人生、ゆりさんと生きていきたい」

「私でいいんですか。私は離婚してから男性が嫌いでした。でも今井さんは率直で、嘘をつかないし一緒にいると疲れません。……でも、お付合いするのは怖いです。又、同じことで傷つきたくないのです」

「僕は裏切らない! あなたを傷つけない! 僕の事は嫌いですか? 男として見てもらえないのですか?」

「そんな事はありません! 素敵な方だと思っています」

「どうしてですか? 拒まないでください。毎日あなたの事ばかり考えています。毎日、毎日、あなたを抱きしめたいと想っているのです!」

私は彼の言葉に負けそうになる……受けていいのか迷っている。即答できない。沈黙……心の中で自分の気持ちを確かめていた。もう一度、素直になってみよう。

「私で良いのですね。本当はとても嬉しいです。今井さんと居たら素直になれる。一つだけ条件があります。恋人でいても好きな人ができたら話してほしい!」

「すごく嬉しい! 恋人になってくれるんですね! 僕にも条件があります。僕と居る時は、支払い等は全て任せてほしい。いいですね」

「すごく不安はあります。甘えていいのかなって。今井さんは初婚でしょう。私は孫もいますよ。怖いです……あなたに心を奪われるのが……」

「僕はゆりさんの心を奪いたい。とても欲しい。ようやく見つけた。諦めません!」

「分かりました。私も嬉しいです。喜んでお受けいたします」

「ありがとう! 嬉しい。僕の恋人だ! 今日の日の為に準備をしていました」

ダイヤのネックレス。

「ええー、凄い。ありがとうございます」

「僕がゆりさんの首につけてもいいですか」

「ええ、嬉しいです。お願いします」

「愛している」と耳元で囁やいている。耳が赤くなっているのが分かる。

「今から敬語はやめよう。僕の事を俊輔と呼んで」

「じゃ、俊さんと呼びますね」

「手を出して。柔らかいな、気持ちいい。僕が守るから」

「ありがとう。嬉しい」

「週に何回か会いたい!」

「私も!」

「時間が空いた時はお互い連絡しようね」

「金曜日はお孫さんがお泊まりだよね。いいなぁ。土曜日はいいでしょう」

「大丈夫、デートしましょう」

「やったー」

土曜日の十一時に約束してお店を出た。

「手をつなごう」とスッと手をつないだ。

月曜日の洋裁教室が改装の為、しばらくお休みになった。

寂しいな、友人も出来たのに。何名か辞めるそうだ。私も迷っている。