僕たちは、石山病院の近くにある居酒屋で再会した。

夏休みは早坂と話すことができたし、あとはゆっくり実家で過ごすつもりだった。しかし、1日中家にいるのは退屈だった。かといって勉強する気にはなれなかったし、1人でどこかに出かけるエネルギーもなかった。

研修医時代に同期だった宮岡と細山は地元の大学病院で研修をしている。この2人は去年まで苦楽を共にしてきた仲間であり、2人の医療に対する意識の高さに刺激を受けて引っ張ってきてもらった恩も感じている。帰省した際には真っ先に連絡を取りたいと思っていた2人だった。

帰ってきて数日は僕自身の研修がうまくいっていないのが恥ずかしくて、連絡しないつもりだったが、実家にいる退屈さに負けて連絡を取ってみることにした。メールを打つとすぐに返信をくれた。2人とも忙しそうではあったが、帰省していることを伝えると、時間を作ってくれた。

「山ちゃん、久しぶり」
「元気にしてた?」
「うん。2人とも元気そうだね」

僕たちは、研修医の頃に行きつけだった石山病院の近くにある居酒屋で久々に再会した。

「2人はよく会うの?」

宮岡も細山も近くの病院に勤務しているため、住んでいる場所はそれほど遠くないはずだ。そう思って尋ねてみた。