「おれも同じようなものだよ。ぜひ仲良くしてくれよな。ちょくちょく飲みに行こう」

こうして幸先よく同期の友だちができた。オリエンテーションは午前中に終わり、僕たちは病院の社員食堂で昼食をとることにした。

「広いなあ」
「うん、けど結構席は埋まっているね」

社員食堂はざっと200席はあるが、ほとんど埋まっている。正午の一番混む時間帯とはいえ、これだけの席が埋まってしまうのかと、改めて病院の規模の大きさを実感する。

メニューも充実していて、日替わりのA定食、B定食、C定食のほか、スペシャルメニューやうどん、カレーライス、ラーメンなどひと通り揃っている。値段も定食が300円とかなりリーズナブルだ。

石山病院には食堂がなかったため、宅配弁当だった。宅配弁当は毎日食べているとメニューが違っても同じ味に感じてしまい、食べるのが辛くなってくる。

その結果、去年の秋頃からは昼食を抜くようになってしまった。病院に食堂があると聞いてワクワクしていたが、さらにこの充実ぶりは嬉しい。

「早坂はどうして泌尿器科を選んだの」
「手術もあるし、外来もあるし、泌尿器科医にしかできないことも結構あるから、やりがいがあるかなと思って。山川はなんで消化器外科なの」
「なんとなくかな」
「なんだよ、それ」

やはり「手術が好きだから」とは言えなかった。