あきらめ

進路選択時には、担任から「あなたは英語が苦手だから、英語のない公務員試験を受けた方がよい」と言われました。その前年までは英語がありませんでした。しかし、その年から英語が試験の中にありましたが、幸いその出題された程度は中学卒業程度のものでしたので、ラッキーでした。

国家公務員初級(現在の募集とは違う名称)試験の模擬テストの結果では、自信はありませんでした。公務員試験とは別に東京の民間商社にも応募していました。私自身、田舎での苦しい生活から逃げ出したい心があったからです。

その時に受験した国家公務員初級試験での採用は、一般職と特別技能職と二種類あり、また、勤務地別に北関東地区(数千人の採用枠)と長野地区(数十人の採用枠)に分かれていました。

私は、長野地区の一般職で受験しました。その第一次試験は、私の高校からは相当な人数が受験していたのですが、驚いたことですが、合格したのは私一人だけでした。

またも本番で、御本尊様に御守りいただいたと心から思いました。

その国家公務員試験の二次面接の日が、民間商社の受験日と重なりました。父にも担任にも資格は取るよう勧められ、二次面接を選択し合格通知を手にしたのでした。しばらくして、地元市に出先機関のある役所から通知があり、採用されたのです。

一年間本庁まで通いましたが、一年後、地元の部署へ転勤となりました。その職場は男性ばかりで、私を含めてたった九人でした。役所へ来る方々は、林業や建設関係の方々も多く、一人で留守番することもあり、電話応対など話すことが苦手な私が、自然に世の中で通用するようになっていきました。

この職場で働けたことは、本当によかったと思います。いろいろな方々、事業主さんや働く皆さまと出会え、応対する方々によって、言葉遣いも接する姿勢と態度や心遣いも、臨機応変に対応していく術を、自然に身につけることができたのだと思います。

もちろん、いまだに至らないところばかりであることは言うまでもありません。次第に、いつしか人と話すことが以前ほど苦にならなくなっていました。