警察署ではリックが以前高垣達三人と打ち合わせをした会議室でクリストファーとミーティングしていたら、クリストファーの秘書がノックをして入って来た。

「王族のボディガードの方二名が事件の担当責任者にお会いしたいと言って面会を求めていますが如何しましょうか?」と聞いてきた。

リックとクリストファーはお互い顔を見合わせ、クリストファーが直ぐ「上の応接へお通ししなさい」と指示した。秘書は、「はい!」と言って直ぐ出て行った。

二人は出て行った出口を見ながら、クリストファーが「やっと会えたな!」と言って二人は席を立った。

直ぐ応接へ向かうと丁度秘書に案内され入室するところでリック達二人は軽く会釈をして、自己紹介しながら握手を求めようとした。王族のヨシムとマサイは腰をさっと三十度曲げ、直って直立し握手に応じた。

クリストファーにお座り下さいと促されるとヨシムとマサイは硬い表情で背筋をピンと伸ばし座った。クリストファー達も座ると直ぐ「今日はわざわざお出向き頂き有難うございます」と口火を切った。

ヨシムがやっと笑みを浮かべ、「事前に連絡もせず、急に伺い失礼しました」と返答し「事件当夜の状況をお知りになりたいとの要望を伺いましたので参りました。早速マサイの方から説明させます」と言ってマサイを促した。

マサイは、カラム副大臣に事前了解を得た内容を時系列に沿って話をした。

クリストファーが「王子様、王女様に怪我が無く無事と伺い安堵致しました。ところでお二人は襲った人間に何か心当たりは有りますか?」と聞いた。

ヨシムが「今の段階では全く無いので警察の方で何か情報をお持ちでしたら是非お聞かせ願いたい」と懇願した。

クリストファーが「ハンドガンは回収したのですが、残念ながらクリーンで弾丸も結構潰れており、それ以外の新しい情報は未だ上がってきていません」と返事した。

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