そして喧嘩の場面。これもまた凄まじい。「ちゃぶ台返し」なんて大したことはない。ふすまは破れ、ビール瓶をつかんで殴りかかり、あらゆるモノが飛び交い、そして壊される。その喧嘩の中で飛び交い、壊されるのは物だけでなく兄弟それぞれの思い、思想、そして苦悩なのである。

最後に三郎、末吉がトラックの荷台に乗り明日に向かって労働に行く場面、そして、オリエの戸坂との再会が明るい未来を予想させて映画は終わる。

元はテレビドラマであったが、後に映画化されたもので、主題歌の「若者たち」も大ヒットした。佐藤オリエの庶民的な素朴な笑顔はとってもよかった。

第二章 日常を生きぬく事 くじけそうな時は

日常を生きて行く事は安易なようで結構難しい。しかし、人生にとってはこれが一番基本である。必死で生きて行かなくてはいけない。

この章では日常を生きて行く中での出来事やそれに対する対処、生き抜くために必要な事などを紹介している。「あー、生きてて良かった」と思えるような場面を味わってください。

旧制高校時代の寮生活、姉の霊に助けてもらいながら成長していく妹の姿、孤独の中より人生の展望を見出す、子供達の成長する姿、人生には休養も必要、ありのままの姿も素晴らしい、社会へのささやかな挑戦など、日常の中での感動するお話を集めている。

「死ぬことぁない。死ぬまでもない。人を押し退ける勇気がなくても、死ぬ勇気はなくても構わない。私の目の前にあるのが唯一の現実である。死者も含めて現実である。死者を想うのも現実であり、幻想に悩むのも現実である。

そんな、人それぞれ違う現実の中では、正解なんてありゃあしない。悩んでいても時間が過ぎる。何かをしなくては生きては行けない。後悔しなければいいのだと思う。それが、唯一の解答ではないだろうか。」(『父と暮らせば』(井上ひさし))より。

【前回の記事を読む】日本の古の風習「ヨバイ」。親公認!?夜中に未婚女性の寝屋に忍び込み…

【イチオシ連載】結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる

【注目記事】私だけが何も知らなかった…真実は辛すぎて部屋でひとり、声を殺して毎日泣いた