結婚のカタチ

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「そうね、まだおなかは空いていないですものね」

特別展のある奥のギャラリーに行くと、絵画ではなく、益子焼の若手作家が製作した陶芸展であった。希望者には販売もしているようだ。

「健一さん、陶芸に興味はあるの」

「特にないけど、良い作品を見ておくのは自分の肥やしになると思っている」

「私は、好きなものがあったときは少しだけど買うことにしているの。今日も気に入ったのがあれば少し買ってみたいわ。焼き物のお皿や小鉢はどんな料理にも結構合うのよね。何を入れようかと考えるのも楽しいものよ」

「なるほど。そういえば、君のところの食器棚にもいくつか焼き物があったよね。」

「そうなの。こういう展示会や陶芸市に出かけて見つけたものもあるわ。それぞれ思い出があって、大切に使っているの」

会場には和食器、洋食器、花瓶など様々な作品が並んでいた。中には売約済みと紙が貼ってあるものもある。中央の大きなテーブルには、数点のつぼや花瓶などが展示されていた。コンテストの受賞作品のようだ。

「これは芸術作品としては素晴らしいけれど、家庭に置くには大きすぎるよ」

「でも、さすが受賞作品だけあって素晴らしいわ」   

次のコーナーには小皿やカップが置かれていた。しばらく見て回ったのち、 美紀は気に入った作品のところに戻った。

「ねえ、この小皿可愛いでしょう。手作りの良さが感じられる」

「他の食器の邪魔をしない絵柄というのもいいね」

「今日は、これを買うことにしましょう」

レジに行き支払いを済ませると、隣接のレストランに向かった。レストランはログハウス風で、落ち着いたこげ茶色で統一されていた。

「いらっしゃいませ。お二人様ですね。お席にご案内いたします」

と、窓際の眺めのいい席に案内された。