自分の持つ自然と感じる強みを活かせるのか、これまでの蓄積を役立たせることができるのかが課題となります。

中年期の危機を乗り越えるには、自律して課題を克服する意味で、目標となる「山登りの道」を見いだします。

目標となる「山登りの道」を見いだすことは、自分を活かすために能動的に専門性を高める生き方です。

ベテランの生き残る道では、経験を土台に鍛錬を重ねて獲得した役割を、さらに深掘りして得意とする型に仕上げます。

自らを活かすことのできる得意な分野では、時間を忘れて没頭していても、ストレスなく取り組めるものです。

鍛錬を重ねた得意な分野でも、仕事のデジタル化が進む社会では、技術の進歩によって失業が発生する懸念が残ります。

職業能力の競争力を低下させるリスクを軽減するために、必要とされるスキルの変化に適応します。鍛錬を重ね自然と感じる得意な型を持つことは、新たな負担の発生ではなく、不確実な時代を生き抜くための投資と考えます。

3 資産形成のための3つの投資を始める

中年期以降に出現する脅威に向き合うために、持続可能なゆとりある暮らしに向けた3つの投資が必要です。 1つ目は、経験を土台に鍛錬を重ねてはぐくんできた、自然と感じる得意とする分野を、デジタル化社会の働き方に適応させるための投資です。

2つ目は、持続可能なゆとりある暮らしに向けた経済的資産への投資です。

人口減社会が進展する環境では、ほとんどの人にとって、退職後に備えた資産を形成する必要があります。

少子化で、働く世代が減少する社会では、人手不足により供給力が低下することで、インフレ要因になります。

働く人よりも、支えられる人が多くなると、国全体にマイナスの負荷がかかり、日本を投資先として考える際の魅力が低下します。

持続可能なゆとりある暮らしに向けた資産形成のために、貯蓄から世界への投資と、意識を転換すべきです。


注 東京大学大学院教授    柳川範之氏『日本成長戦略 40歳定年制』(さくら舎 2013年)の中で提案された発想

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