1.夜間頻尿がもたらす日常生活への影響(疫学調査)

▼ 夜間頻尿の定義

夜間頻尿の定義は、「夜間、排尿のために1回以上起きなければならない症状」とされています。若い人は膀胱が柔軟であるし、成人でも筋肉量、活動量が豊富なため0回がほとんどだと思われます。

しかし、高齢者の日常生活では、膀胱の劣化もありますので、1回以内は正常で、2回未満であれば、自分自身が困らなければ異常とはいえません。2回以上が常態化しているとほとんどの人が嫌な思いになるでしょう。

よって、高齢者の夜間頻尿は1>2回が正常と思います。なお、日常の1回排尿量は200〜400㏄といわれ、1日尿量は1000〜2000㏄が目安です。

日本排尿機能学会の疫学調査

日本排尿機能学会の疫学調査(2002年11月から2003年3月、4480名、アンケート形式)では、下部尿路症状の疫学調査で下部尿路症状の日常生活で何が不都合かを調べた結果(右上図)、影響は心の健康、活力、身体的活動、家事・仕事、社会活動などの領域に及んでいました。

問題となった症状の不都合の度合いは、右下図によれば、夜間頻尿、昼間の頻尿、腹圧性尿失禁、尿意切迫感(注1、切迫性尿失禁、尿勢低下の順となり、一般的に蓄尿症状の方が排尿症状より影響が大きい傾向があります。

男性では夜間頻尿が最も困る症状で70%以上が不都合と感じ、女性では夜間頻尿と腹圧性尿失禁が同等という結果でした。このように、夜間頻尿は、高齢者の普段の生活にかなりの困惑、影響を与えます。

生存率にも影響し、骨折等も頻度が上昇するといわれますが、その影響力はそれ以上に及びます。生存率や骨折率の問題は氷山の一角にしか過ぎません。

下部尿路症状のQOLに対する影響
下部尿路症状の日常生活に対する影響
 
(旧版)男性下部尿路症状診療ガイドラインより

(注1. 尿意切迫感とは、水に触れたり、音を聞いたりなどしたら急に尿意をもよおし我慢できなくなる状態で、過活動膀胱症状の特徴です。過活動膀胱質問票(OABSS)の質問3に該当します。