ある時私が石原慎太郎の本を読んだ話をすると、彼とは友達だったと言うのです。私は、石原さんが脳梗塞を起こしたにもかかわらず、スキューバダイビングをしたいと頑張っているという積極的な生き方をしていることに、刺激を受けました。そんななか、石原さんの訃報が飛び込んできました。

その友達の患者さんは石原さんとの若き青春時代の白黒写真や、クルージングを楽しんでいる写真などを診察時に持ってきてくれました。そして、たくさんの武勇伝を聞かせてくれました。人間味があって、とても素敵な人だったようです。

最後の最後まで執筆活動をしていたそうです。私もどちらかというと石原さんタイプです。

最後の最後まで診察ができたら本当に幸せだな~と思いました。

 

3 覚悟を決めた日

3年間糖尿病治療を自己中断されていて、当院初診時HbA1cが 12・5%あった患者さんのお話です。

経口剤と本人の努力によりコントロールはすぐにHbA1c6%台に

改善されたのですが、突如、妊娠したとのこと!!! 当時、本人は結婚しておらず、何より糖尿病を持ちながらの出産はできないと思っていたそうです。突然の出来事に大きな不安を抱えておりました。

すぐに経口剤からインスリン療法に変更し、1日3回の血糖測定を開始。

毎日、私の携帯電話に報告してもらうようにしました。もちろん糖尿病を抱えての出産にはリスクがあります。

しかし、それまでたくさんの患者さんを診てきましたが、私の患者さんは皆、健康で元気な赤ちゃんを産んでいましたので、絶対大丈夫だと思っていました。

徐々に彼女も産む決心がついたようで、受診日に彼と一緒に来院し、「籍を入れました!」と報告してくれました。診察室で「一緒に頑張ろう!」と強く握手を交わしたのを今でも覚えています。もちろん無事に

可愛い子が生まれました。

そして現在では2人のお子さんに恵まれ、素敵な家庭を築いています。

突然の妊娠から、インスリン療法を始め、結婚、出産、子育てと、それはすごい努力があったと思います。そこには、彼女の決意や覚悟を感じます。その強い意志が今の素敵な人生に繋がっているのだと思います。

【第1回から読む】日雇い労働、ホスト、ダンサーを経て…型破りな医者が波乱万丈の人生を明かす!