・「第5章 第1節 等速円運動における速度と加速度」から速度と加速度は向きと大きさとを持ち、ベクトルであることが証明できました。第5章第1節の結論の加速度と比較すると、ω=v/rであることが明らかです。

 

・2022年以前の大学入試問題では数学の内容は、整数分野の出題が多く実数を取り扱う物理学関連の出題は極めて少なくなっています。今まで物理学方面の出題に誤りが多かったのが原因と思います。

・筆者が弧度法を再検討しようと考えたのは次の書籍を読んだからです。

『非常に誤りの多い高等学校物理教科書と間違った大学入試問題』

長谷川節(はせがわみさお) 著( 1994年 株式会社近代文藝社 刊行) 

あとがきの最後の文章には感銘を受けます。

最後に、誤りのない教科書が出版され、正しい入試問題が出題されることを希望します。

第4節 等速円運動における変数の関連図解

・(道のり)= rθの左辺と右辺の単位は同じく[m]で、(道のり)と半径rの単位は共に[m]ですからθには単位はなく数値なのです。つまりθに[rad]はつきません。

・円運動だけ特別に(道のり)の単位を[rad・m]にすると考えることはありえないでしょう。

 

第5節 回転数と角回転数

拙著『オイラーの公式は一行で証明できる』の中に【短い小説】ある国でロケットが爆発という一文を掲載しました。テレビのニュースでロケットが発射後に爆発したことを伝えたからでした。

某年某月某国某所から、最新のロケットが打ち上げられました。が失敗。ロケットは急激な回転をしながら上昇後飛び散りました。この飛び方は過去に某国のロケット設計の先駆者が思いついたロケットの飛び方でした。捻じれるような回転を加えながら上昇させると飛び方安定し一直線に上昇するからです。ロケットが壊れる直前に送られてきたデータを調べると回転数は6倍を超えていました。事故調査委員会の会議の中で一つの公式が問題になりました。『ω=2πf』です。ある技術者が回転数を1と考えたのに対し、別の科学者は回転数を2πと考えたことに気づいたのです。「回転数と角回転数が区別できないのはおかしい」と一方が言うと「角回転数と言う用語は知らない。インターネットの検索では角回転数はない」と他方。これに対し「周波数と角周波数の名称もある。回転数に対して角回転数があるし、振動数に対して角振動数もある」と押し問答。委員長は持参した電子辞書を調べて読み上げました。「角〇は〇を2π倍したものです。〇に入る用語はあったりなかったりいろいろですね」

【論点】筆者は高校生の時に、交流電圧は V=V0sin(2πft)となることを知りました。2πに単位はつかずf=50あるいは60で単位は[Hz]あるいは[1/s]で、tは時刻で単位は[s]です。従って、2πft全体では単位はつきません。さらに、V=V0sinωt の表現もありましたが、流れから2πf=ωとなり、単位は[1/s]です。

fの名称が周波数ですが、ωの名称は気に留めていませんでしたが「角周波数」とするのが自然です。このように電気工学の知識があれば、ωの単位を間違えることはなかったと考えています。

【前回の記事を読む】高等学校の物理学の教科書の特徴は、平面座標系を使った解説がないこと

【第1回】学校で学ぶ数々の公式の「モヤモヤ感」筆者がそれ解き明かします!