刑事狩り

プロローグ

「角田君どうだね。今年もあと数日で終わるが、来年に向けて例の狩りは進んでいるかね?」

「狩りだなんて人聞きの悪い。組織の改編と言っていただかないと」

「そうだな。それで関東での根回しはどうだ?」

「はい、うちが旗揚げをすれば各県も賛同するとの確約は取れております。どこもあの部を疎ましく思っているようです。現在、関係機関と調整を図っております」

「あそこは叩けば埃がいくらでも出るだろうから、理由付けは問題ないな。関東での調整が済んだら、今度は近畿に話を持って行くか。特に大阪にとっては渡りに船だろう。他の部署と仲が悪いと聞いているからな」

「はい、ではそのように。ただ問題は桜田門です。まだ根回しすらしておりませんので、果たして賛同するかどうか」

「根回し? その必要はないだろう。この私が了承しているのだから問題ない」

「おっしゃる通り。では桜田門には根回しなしで」

「最近の若手職員は、拘束時間が長い、休みも取れないあそこを希望しないっていうじゃないか。もうこのへんで奴らには日本の歴史から消えてもらってもいいんじゃないのか? それが君達の本懐だろうしな。周りの環境に順応できなかった奴らは、恐竜のように絶滅すればよい」

「はい」

「来年は良い年になりそうだな。新しい時代の幕開けに」

「未来の我々のために」二人は乾杯した。