初めての短期留学

私には陽介という一人息子がおります。

結婚が遅かった(三十九歳)せいで四十三歳にしてやっと生まれてきてくれた一粒種をどれほど可愛がり、どれほど神に感謝したことか。

しかも生まれた時の体重は三四二八グラム。

私の生年月日は昭和二八年四月三日。

このすべての数字を持って生まれてきてくれた時は、なんと親孝行な子だろうと思いました。息子は誰からも祝福され、とても健康で素直な子供として育ってくれました。

その息子が小学校の高学年になった頃から、折を見ては「陽介は中学を卒業したらアメリカの高校に留学するんだよ」と言わば洗脳する形で、しょっちゅう刷り込みをしていたせいか、中学生活を終了する頃になっても留学に対しては何の懸念も抱かなかったのでした。

陽介が中学の二年生になった時、海外留学に免疫をつけるために二週間の短期留学を経験させました。

勿論目に入れても痛くないほど可愛い息子を単独で留学させるわけもなく、私も同じ短期留学生として同行しました。当時仕事上の付き合いのあった旅行会社に手配を頼んで、(旅行会社が提案する短期留学は様々なオプションを抱えているため)ホームステイではなくレジデンススタイルのホテルを借りて二人で自炊をしながらカレッジが行っている二週間のサマースクールに参加しました。

二〇一〇年の夏のことでした。