第四条 「家事分担をさせる」

間違った分類が行われている現状

小学校の低学年の子が極端な低学力のために専門機関にゆくなら、アスペルガーとか、なんとか、いろいろな分類分けをされる。(最近は「自閉症スペクトラム障害」と一括されているようである)しかし、現実には、このように何らかの障害があるように言われている子の多くは、自分という中心ができていない(自我が弱い)場合が多いのである。

ここに例に挙げた子もそうであった。そして、このような自我脆弱児は、早目に鍛えれば、ごく普通にやっていけるようになるのだ。小学一、二年生なら、まず、成功する。この年齢を越えると難しくなる。中学生になると非常に難しくなる。

自我脆弱児は算数ができないこの、自我脆弱が表面化するのは、小学一年になってからである。“極端に算数ができない”という形をとる。その場合、算数のみ教えるのでは効果は弱いのだ。その背後の「知能と関係なしに、極端に算数ができなくなってしまっている原因」を、取り除く必要があるからである。

自我脆弱の子は、なぜ算数ができないかというと、算数というのは「決まり事」だからである。生活上の決まり事を教えられずに、ボーッとすごして来た子は、決まり事である算数とは異世界にいるのだ。

そこで、私はお母さま方に、家の中で手伝いをさせる事を進言するのだ。例えば、まず、食事が終わった時に自分の使った器を片付けさせる事はやらせ易い事である。お箸だけとか、お茶わんだけでもいい。たくさんのお皿を重ねてあるのを下げたりするのは重いし落としやすい。まず、その子の年齢や能力に合わせて、お皿一枚でもいいのである。

「食事のあとは汚れた食器は流しに入れる」という決まり事を教えるためなので完璧である必要は無いのだ。又、遊んだあとの玩具の片付けは、必ず幼児期から躾けなければならない。

しかし、しょっちゅう片付けるように言うと、子供は集中して遊べないから、一日に一回(夕飯前とか)に片付けさせるのである。それから、家が狭い時は玩具を拡げて良いスペースを決めるのである。たたみ二畳位のカーペットをしいてあげて、その中は好きなだけ散らかして良いようにし、遊びをやめる時は片付けさせるのだ。

言うと簡単なようでも、育児体験のある人は、毎日、毎日、このようにやることは、たいへんエネルギーのいる事であると知っていると思う。

「片付けたくない」

「片付けなんてつまんない事はやりたくない」

という子供の側と、好き勝手にさせたくないという親の側との、エネルギーのぶつかり合いになるからである。