第一章 日本経済の分析

アベノミクスの成果

経済には二つの側面があり、それを人間の体に例えるならば「成長(成熟度)」と「健康(景気)」である。一般的に「景気」と呼ばれているものは、人間でいう「健康」の事であり、「景気が悪い」とは何か風邪などの病気にかかり一時的な体調不良の状態をいいます。

反対に「成長(成熟度)」とはその国の経済の総需要と総供給が、人間の年齢でどれくらいの成熟度(年齢)に達しているのかという事になります。この経済における「健康(景気)」と「成長(成熟度)」という考え方が、アベノミクスには完全に欠落しているのです。

問題は、その国の経済が、子供から大人に成長するのと同じように発展途上の段階では短期間で急激に拡大する傾向にある半面、人間の子供が大人になった瞬間その成長が止まってしまうのと同様に、実体経済も経済が成熟化すれば成長も鈍化してしまうものなのです。現在の日本が丁度この状態に当たります。

では、経済が成熟化した先進国において、時として発展途上国と同じように急激に経済成長をする事はあるのでしょうか? 答えは、そこまでの経済成長はなくても、安定して成長し続けている国は存在しています。それは、移民などによって人口が増え続けている国です。

国名を挙げるとするならば、皆さんもよく知っている国だと、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスがそれに当たり、イタリアやスペインなど近年経済が沈んでいた国でも、二〇一五年に起こった中東からの大量の難民の流入によって、その後明らかに経済が良くなっている国もあります。

問題は、日本ではこれと全く逆の事が、現在起こっているという事です。その事を、我々経営者は敏感に感じ取り、反対に多くの政治家や官僚達はその事に全く気付いていない状態なのです。このため、時として彼らはピントのずれた経済政策をたびたび行ってしまうのです。

大事な事は、政府は常にその国の「成長」と「健康」の両面を見ながら国家運営をしなければならないという事なのです。