はじめに
カラスが家に飛んできて、
「寝る場所を貸して下さい。ついでにご飯も」
と窓から入ってきたらどうしますか？ カラスは全身が真っ黒、不気味で怖い印象を持たれています。しかし、カラスは知能が発達した賢い鳥で、人間と共存して生きていこうとしています。
また、里山に行くと、鳥の鳴き声が聞こえてきます。フクロウやキジバトが、どこかであなたを見ています。ヘビのアオダイショウは、田舎の家ではネズミを捕るので役立っていました。
一方、アオダイショウも人の家に隠れているとトンビやタカやイタチなどに狙われません。立場をわきまえているのか、滅多に人前には現れません。姿を見せても、一瞬で隠れます。
産まれて間もない時期に捨てられて、野良犬を経験した犬は凄いですよ。生きていくことの大変さを知っていますので、家に飼われていることを最も大切にしています。飼主に喜ばれるように先回りして気持ちを読んで行動します。家族の一員であることを誇りにしているようで、一緒に生活している喜びを身体全体で表してくれます。
人間の遺伝子を1000人解析すれば、1000人とも異ことなった遺伝子配列を持っていることが分かりました。どの人もオンリーワンなのです。生命には限りがあります。限りがあるから大切にするのです。命は一度失うと元には戻りません。ゲームのようにリセットはできないのです。
私たちは毎日食事をしています。その食べ物は全て生き物からいただいたものであることを忘れてはいけません。他の生き物の命で支えられているのですから、私たちは自分たちの命を大切にしなければならないのです。家畜として牛やヤギやニワトリを飼育していたとき、そのことがよく分かりました。
困難なことに出会っても、それを乗り越こえてしなやかに回復する力をレジリエンスといいます。私たちが長い人生を生きていく間には良いことがたくさんありますが、社会が大きく変化している現代は危険も潜んでいます。ストレスやプレッシャーで押しつぶされそうになっても、折れない心を持って立ち直る力が期待されています。
言い換えればレジリエンスを高めることに関心が集まっているのです。私たちは動物とふれあう中で、励まされたり、慰められたり、自分を見つめ直したりしています。私たちが動物から受けている恩恵の一つはレジリエンスを高めることになるのではと考えて、動物たちとのふれあいの物語をたくさんの若い方々に読んでもらいたいと思って書きました。
