「男の方を探せ!」

と指示し、手を振って直ぐ探せという仕草をして話し疲れた様子で豪華な椅子へもたれた。

カラムは飛び跳ねるように立ち上がり直ぐ後ずさりして王子の部屋を出た。そのまま先程の応接間へ戻り、其処に未だ居た副官に直ぐさっきのボディガード達を呼べと指示し椅子に座って展開が全く逆だと溜息をついた。

あの男が王子様達を救ったとしたら一体何処の男だろうと考えたが全く分からない……ではあの男がいないと王子様達は……と思うと又ぞっとして寒気がし震えた。

扉が開いてボディガードの二人が入って来ると直ぐカラムに向かって

「チーフは再度強い痛み止めを打たれ昏睡中で目を覚ましません!」

と報告すると

「分かった」

と応え、カラムは傍の椅子に座るように指示をした。そして王子様から伺った話を二人に伝えた。二人は吃驚した顔をしながらもヨシムがぼそっと

「だからお二人の頭を包み込むようにしたまま崩れ落ちたのか!」

と言葉を洩らした。カラムは

「王子様がその男の様子を大変気にされておられる。誰を使っても良いから直ぐ男の様子を探れ!大至急だ!」

と指示し、

「チーフが目を覚ましたら今の話を伝えろ!」

と言うと直ぐ出て掛かるように手を振った。

目の脇をフォークで刺されたファイサルと他の二人は、出口を出た処でスタンバイしていた先の三人組のバンに乗り込み

「失敗だ! 変なやつに邪魔された。サリム! お前は残って邪魔したやつを追え! 分かったら直ぐ俺に連絡を入れろ!」

と指示しサリムが降りると

「おい! 車を直ぐ出せ!」

と大声で言って痛む目を押さえながら、

「この計画は失敗する筈はなかったのに、あの邪魔したやつさえ居なければ間違いなく二人を……」

と言いながら流れ出る血を手で拭った。

「畜生! あのやつ!」

ファイサルのバンが会場を少し出ると向こうからサイレンを響かせ、警察と救急車が何台も走って来た。残されたサリムは会場出口の脇で驚いて呆然とした雰囲気を醸し出し、隠れるように突っ立っていた。会場出口付近は出てきた人達で溢れ、あちこちで座り込んで呆然とした顔をしていたり、泣いている人も居た。

其処へ警察と救急車が何台も到着し更に混乱に拍車が掛かった。救急車が出口に三台並び怪我人を順番に手当てし、重傷者で搬送が必要な人は直ぐ乗せられ病院へサイレンを鳴らしながら次々出て行く。

そんな中ジャイルズのメンバー二人が抱えられて出てくると喚声が上がり、直ぐ救急車から飛び出た看護師が二人の様子をチェックし、腰の辺りが真っ赤に染まった一人のメンバーをストレッチャーごとバンに乗せもう一人のメンバーと共にハイウエイへ飛び出して行った。

【前回の記事を読む】あわや大惨事…「直ぐに王子様達を襲った者達の情報を集めろ!」