今回の彼の主張は、ただ財政破綻を先延ばしにしているだけで、問題解決を主張しているわけではないからです。我々国民は、無能な役人達の尻ぬぐいのために高い税金を払っているわけではありません。それでは、この悪化した日本の財政を立て直すためには、一体どうすれば良いのでしょうか? それはもちろん、この本の題名の通り移民を三千万人受け入れる事です。

しかし、それを説明する前に、もう少し日本経済に対して解説しなければなりません。なぜなら、日本の財政を悪化させている本当の原因が、少子化だからです。そしてこの事は、ワニの口の下顎……、つまり政府の税収の増減についても、深くかかわってくる問題なのです。近年日本の税収は、GDPに対して約12%の割合で推移しています。

つまり、ワニの口を閉じるために税収を上げようとするのならばGDPを増やすか、税収率を上げるしか方法がありません。ですが、この少子化の進行によって、現在、日本のGDPが大きく下がり始めているのです。

このため、少子化対策なしに財政再建及び、日本経済の立て直しはありえず、その少子化により、今後、日本経済はどのように推移していくのかをまず検証しなければ、日本のGDPや政府の社会保障費がそれに合わせて、今後どのように推移していくのかが全く見えてはこないのです。

少子化による低成長化

日本の解決しなければいけない、一番大事な問題は何ですか?読者の皆さんの中には、国の莫大な借金と考えていらっしゃる方も多いと思います。しかし実際は違います。日本が抱える一番重要な問題は「少子高齢化」です。

少子高齢化によって、日本経済は長年低成長化によって苦しめられてきました。わかりやすく一般的な商売で例えるとするならば、年々少子化によって、皆さんが勤めている会社のお客さんの数が減り続けている状態で、実はこれが原因で、皆さんの給料が上がらなかったり、または正規社員にもなれなかったりしていたのです。

またこのお客さんの減少(総需要の減少)によって、それ以外にも日本社会では様々な問題が起こり始めています。デフレ、人手不足、中小企業の低収益化、年金問題、貧富の差の拡大等……。そして、財政の悪化も、その発生している問題の一つなのです。

日本の現在の状態を「風邪」に例えるならば、財政悪化は風邪による咳せきなどの諸症状でしかなく、緊縮財政は単に咳止めの薬を飲んでいるだけでしかありません。しかし、日本経済を健康な状態に戻すためには、まず風邪(少子高齢化)そのものを治療しなければならないのです。

その証拠に、二〇〇〇年から現在までの日本経済の推移を詳しく見てみると、日本の財政を悪化させている原因は、間違いなく毎年増大し続けている社会保障費です。これを補うためには、日本は最低でも年率2・0%の経済成長が必要なのですが、残念ながら少子高齢化による人口減少が、今後、日本の経済成長の重い足かせになっていく事は間違いありません。

このため、たとえ一気に消費税を増税し一時的に財政の均衡が図れたとしても、人口減少によりGDPが減り続け、反対に社会保障費が増え続ければ、いずれ再び借金体質に戻ってしまう経済構造に、日本はいつの間にかなってしまっていたのです。このため、国の財政を立て直すためには緊縮財政ではなく、まず日本の少子高齢化を何とかしなければならないのです。