~もう1つの過去~

ある日曜日、まひるとヒカリは凛を誘ってバーベキューの用意をしていた。いつのまにか、家の中では日本語と韓国語が飛び交っていた。子供は覚え出すと早いものだとまひるは感心していた。

韓国語の分からないまひるの方を見ながらヒカリと凛が楽しそうに話している。どうせ、悪口でも言ってるのだと思いながらも、イジケテ見せた。

バーベキューの途中で、ヒカリが友達に料理を教えてもらったと言ってキッチンに向かった。その後ろ姿をまひると凛は手を繋ぎながら見つめていた。子供が大きくなるのは早いものだと感じていた。

まひるが、心配になりキッチンへ行くとヒカリがガステーブルを使う所だった。その様子を見た瞬間まひるは青ざめた。

ガスとホースのつながっていない栓を開けていた。ヒカリに駆け寄り

「危ないじゃない! ガステーブルは、使い方間違えると爆発するのよ」

と言った瞬間、フラッシュバックが起きた。まひるは身体を震わし涙が溢れ落ちた。凛はヒカリを部屋へ送り

「心配無いから、大丈夫だから」

と伝え、まひるの元へ向かった。

凛には分かっていた。まひるはパニック状態で凛にしがみついてきた。

「私があの時の事故を起こしたの」

と、凛に告げた。

「私のせいで。凛の家族や凛、そして私の両親を死なせてしまったのは私だった。ごめんなさい」

と繰り返すまひるに、凛は優しく抱き寄せ、

「あれは事故だったんだよ。まひるだけが悪いわけじゃない。事故だったんだ」

と言い、優しくまひるを抱きしめた。

パニックを起こしているまひるは凛にしがみ付き泣き続けた。

まひるが泣き止む頃、凛は優しくまひるにキスをして抱きしめた。

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