2 関わる~リーダーシップのスタート地点

リーダーは、組織の連帯感を高め個人の成長をサポートする必要があります。その出発点は、メンバー一人ひとりと「関わる」ことです。「関わる」とは、メンバーと信頼感を築き、安心・安全の場を作り、コミュニケーションの舞台を整えることです。コロナ禍によってリモートワークが広範に行われるようになり、リアルコミュニケーションの不足が問題視されています。

自宅でコンピューターに向かって淡々と業務を行うことの孤独さが指摘されていますが、改めて考えてほしいことは、それまでの職場にあったコミュニケーションとは何か、ということです。

コミュニケーションは、一般に「情報伝達」「意思伝達」と訳されますが、その語源は、ラテン語のコミュニス(communis)すなわち共通したもの、あるいはコモン(common)すなわち共有物といわれています。つまり、複数の人間の間で情報、意思、価値などを共有することがコミュニケーションの本義です。

リモートワークにおいて、こうしたコミュニケーションが成立しにくいのは事実かもしれません。一方、これまでの職場において、本当にコミュニケーションは存在したのかどうか、いま一度見直す必要もありそうです。

多くの組織では、職場という「空間」を共有して仕事を行います。空間の共有が当たり前であったコロナ禍前において、「空間の共有」=コミュニケーションという誤解が生じていなかったかどうかということです。複数の人間の間で「共有」する前提は、それぞれが何を持っているのかを知ることです。その営みが「関わる」ということです。

「関わる」のスタートは、興味関心を持つこと。隣で仕事をしている同僚が、今、この瞬間、何を考えているのか、何に困っているのか、何に喜びを感じているのか、どんな思いで仕事に取り組んでいるのかに関心を持つことが「関わる」そしてコミュニケーションの基礎になります。関わりの中で共有をめざすものは、お互いの「状況」「思考」「感情」「価値観」です。