翌週の月曜日の放課後練習でエリが真凛ちゃん相手にホールディングパスをやっていると、健一君と広大君が見に来た。

「おいおい、ブデチ。それってバレーボールじゃないよな。俺たちがバスケでシュートするのとおんなじじゃないか。バレーボールっていうのは、返ってきたボールを打ち返すもんだろうが。ブデチは次にバスケを狙ってるのかよ」

健一君はいつものように嫌味を言う。

エリが真凛ちゃんにパスしたボールを広大君がさっと飛び込んで横取りし、

「ほら、パスとはこうして返すもんだろうが」

と言って、エリに向かってバスケットのパスのようにまっすぐな早い球を返してきた。

そのボールは、油断していたエリの顔面を直撃し、エリはうしろにひっくり返った。真凛ちゃんが、「きゃー」と大声で叫んだ。

エリは脳震盪で起き上がれなかった。少し離れたところにいた沢井監督が気付いて、大きな声をあげた。

「ちょっと、あんた達何をしているの。怪我させたんじゃないの。バスケの男子がなんでこっちに来ているのよ。待ちなさいよ。エリさん、大丈夫」

そう言いながら、大急ぎでエリに駆け寄った。健一君と広大君は、先生に見つかって慌ててバスケのコートに逃げていった。

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