将太の進路でまたすれ違う喧嘩をしたりすることはなかったが、距離がドンドン広がっていくようで、ぎこちなくなってきたパパとの関係が息苦しく感じるようになってきていた。

考え方の違いは話し合ったから何とかなる、というものでもなく感情的になって泣きわめけば仕方なく折れてくれたかもしれないが、根本的に考えが違うわけだから、そんなことをしても解決にはならなかっただろう。将太とパパの間ではキチンと話し合いができていたようで、私だけが空回りしていた。

進学をすすめる私に「勉強もしたくないし借金もしたくない」と最後通告のような言葉を将太から突き付けられギブアップした。

これが決定打というわけでもないが、少しパパから離れたいと考えるようになって「離婚しない?」と言ってみた。ハアーというような顔をして「嫌だね」と言ってきた。

「じゃ別居は」と聞くとそれも嫌だとなって「何がしたいんだ」と聞いてきた。「何ってまだ考えてないけど将太も就職が決まったし、雄太の大学の学費と生活費の心配だけしてもらえれば私は自分のことは何とかするからどうだろうか?」。しかし全く取り合う気もなく「俺は嫌だから」で終わってしまった。

その後離婚の話が出ることはなかったが、すれ違った気持ちはそのままだった。芸能人が離婚するとき性格の不一致とか、すれ違いとか言って「何なんだ、それって嫌いになっただけだろう!」と思って突っ込みを入れていたが「これだな、性格の不一致っていうのは」と分かった気がした。

パパの良いところも分かっているし、嫌いというわけでもないけれど、解放されたいような気分だった。