幸せについて

今年(2020年)の春は、中国に端を発したコロナウィルスがあっという間に世界中に蔓延し、死者の数も日に日に増加の一途を辿っています。毎日世界地図が、コロナに占領されてゆくのを見るのは前代未聞のことです。不安と恐怖で一杯の毎日。

WHOが今朝(3月12日)終に「パンデミック宣言」を発表、経済も日常生活も止まり異常な静けさが辺りを支配しています。大相撲春場所の国技館も無観客で、人気のない静けさのうちに勝敗が決まってゆきます。「観客がいなくて寂しいね」という声も聞かれますが、テレビで、観客無しの観戦を余儀なくされたお蔭で、いつもははっきりと見えない「弓取式」儀式での力士の所作が良く見えて「弓取式ってこんなに大らかで美しい物だったのか」と再認識します。

厄を払う儀式なのでこれで、願わくはコロナが一掃されますように! また行事さんの掛け声も、はっきり朗々と響いて聞こえます。力士たちが当たり前のようにする所作、手のひらで自分のまわしを力一杯たたく音も、観客がいると館内のざわめきにかき消されほとんど聞こえませんが、無観客で静かな国技館の中では、はっきりと聞こえます。いかにも「これから一戦が始まるぞ!」と、気合を入れているのがよく分かります。

いつもは見えていない物がよく見えたり、聞こえたり、国技としての神聖な相撲の姿を改めて見直すきっかけにもなります。千秋楽に優勝者が決まり、君が代斉唱が終わり優勝杯が力士に手渡されると、「神送りの儀式」です。この儀式は観客が入っているときには、ほとんど中継されることがありませんが、今回はこの儀式が放映され、神事としての相撲試合をしっかり見ることができ、これも不幸中の幸いと言えるのではないかしら? 

また土俵に塩を蒔くのは厄を清める意味があり、四股を踏むのは大地を力強く踏みしめることで大地から災い、穢れや邪気を払い「五穀豊穣・無病息災」を祈願する所作です。土俵の枠のワラも「五穀豊穣」を祈願するためなのです。こんなことを調べてみたくなるのも、こんな時だからこそかもしれません。

動物園も休園、美術館も休館、学校も休校、観光地もガラガラ。倒産する会社も店も増え、観光産業も赤字まみれ。収入が途絶え、生活が困難になり自殺者が増えるのは胸が痛みますが、色々と支障があっても、貴方のごく身近な身の回りには少しは良いことあるはずです。学校が休講で学生、生徒たちは退屈しています。

でもこんなときにしかできないことが、あるはずです。例えば、料理を自分で作ってみては? 新しいメニューを開発してみては? 料理上手なら、男女を問わず、世界のどこででも自立できますし、自己管理ができます。自分の部屋を綺麗に掃除してみたら? 整理整頓がうまくできれば大人になっても物事の処理、整理が上手くでき、仕事も捗るようになるはずです。第一気持ちがいいもの。料理だって冷蔵庫にあるものだけで、手際よく何か作ってもらえれば、喜ばない人はいません。こんな非常時を乗り越える知恵をふりしぼりましょう。サバイバル、楽しそう! 

考え方によっては、不幸なことも細やかな幸せを噛締める機会になります。