人生を変えたい

2019年冬。税理士にLINEメールを送った。このまま店を続けたくない。何もかもすることに疲れた。細々と店を続けることを、私以外は皆希望しているが、人生もったいなさすぎる。このまま店の管理をはじめ、金策やら、こまごましたことをやり続けることは、早く終わりにしなければ。

たまたま図書館から借りてきた小川さやかさんの『「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済』(光文社、2016年)を読み始めた。私の人生の欠点を見事に言い当てた箇所に出会った。

「アメリカや日本のような先進資本主義社会では、明日のため未来のために、今を手段化したり犠牲にしたり、ということを徹底的にやっている。いい学校、いい就職、いい老後のためには、今を楽しんでいる暇などない」と。

「今を犠牲にして効率性を上げることが進歩だ」と。

未来のために現在を手段化したり、犠牲にする生き方。真逆は、今この瞬間を生きること。今こそ人生を変えるべきだ。人生を後悔で埋め尽くす前に手の施しようがあるはずだ。四国の田舎の大家族のなかで、末っ子として成長した私は、まさにすべて未来のために、現在を手段として生きてきた。いつも明日のためで今日のためではなかった。

「私の人生は失敗だった」と友人にぶつけるたび、友人は「あなたは自分の力でここまで生きてきて、なかなか人にはできないことをやってきた。その間にもダンスをしたりスキーをしたり、人ができないことを楽しんできたでしょう」と言う。

どうであれ、愚かしくすごした時間のことを嘆いても戻らないのだから、これからの時間は“好きなことだけをして、日々幸せに生きる”をテーマにするしかない。

同調圧力の強い日本での生活が嫌いで、海外へ海外へといい続けているうちにコロナ危機に突入し、店舗売却も、海外移住も待ったがかかった。店舗はいい立地にあるのだが、フラットにして大家に返却しても、あまりお金にはならない。

もう少しコロナ危機が落ち着き、見通しが立ってから売却を、と関係者は助言する。でも、先延ばしをしていては、私の人生は地べたにへばりついたまま、外国人従業員たちの公私にわたる面倒を見続け、いつもヒステリックでいることになる。決意が遅すぎたのだ。未練がありすぎたのだ。自分の責任なのだ。

そうだ、今こそしっかり、その自分の責任について考えることから始めなければならない。コロナの終わりとその先が見えない時代、飲食店を経営してきた私も、どのように撤退するかを考えながら、ステイホームで暮らしている。

最近、73歳から始めていた自己流ダンス動画のインスタグラムに加え、YouTubeの面白さにも心ひかれ、投稿したくなった。

・77歳から発信するYouTuber希踊子(きよこ)

・73歳から始めたインスタのアカント名はtheseven3dancer

・テーマは、ヨガ、ダンス、ファッション、老い

【前回の記事を読む】「終活の時がきた」独り身女性の身辺整理、きっかけを作ったのは“コロナ禍”