第1章 これからの人材育成に動機づけ面接が持つ可能性

第1節 第四次産業革命時代に必要な素養

3 サーバント・リーダーシップの精神はリーダーに必要な姿勢

グリーンリーフ・センター・アメリカ本部の所長を務めたラリー・C・スピアーズが、グリーンリーフの考えをまとめた「サーバント・リーダーの10の属性5」を紹介したいと思います。

①傾聴(Listening)大事な人たちの望むことを意図的に聞き出すことに強くかかわる。同時に自分の内なる声にも耳を傾け、自分の存在意義をその両面から考えることができる。

②共感(Empathy)傾聴するためには、相手の立場によって、何をしてほしいかが共感的にわからなくてはいけない。他の人々の気持ちを理解し、共感することができる。

③癒し(Healing)集団や組織を大変革し統合させる大きな力となるのは、人を癒すことを学習することだ。欠けているもの、傷ついているところを見つけ、全体性(wholeness)を探し求める。

④気づき(Awareness)一般的に意識を高めることが大事だが、特に自分への気づき(self-awareness)がサーバント・リーダーを強化する。自分と自部門を知ること。このことは、倫理観や価値観ともかかわる。

⑤説得(Persuasion)職位に付随する権限に依拠することなく、また、服従を強要することなく、他の人々を説得できる。

⑥概念化(Conceptualization)大きな夢を見る(dreamgreatdreams)能力を育てたいと願う。日常の業務上の目標を超えて、自分の思考をストレッチして広げる。制度に対するビジョナリーな概念をもたらす。

⑦先見力・予見力(Foresight)概念化の力ともかかわるが、いまの状況がもたらす帰結をあらかじめ見ることができなくても、それを見定めようとする。それが見えたときに、そうはっきりと気づく。過去の教訓、現在の現実、将来のための決定のありそうな帰結を理解できる。

⑧執事役(Stewardship)執事役とは、その人に大切なものを任せて信頼できると思われるような人をさす。より大きな社会のための制度を、その人になら信託できること。

⑨人々の成長にかかわる(Commitmenttothegrowthofpeople)人々には、働き手としての目に見える貢献を超えて、その存在そのものに内在的な価値があると信じる。自分の制度の中の一人ひとりの、そしてみんなの成長に深くコミットできる。

⑩コミュニティづくり(Buildingcommunity)人間の歴史の中で、地域のコミュニティから大規模な制度に活動の母体が移ったのがここのところの人間の歴史だが、同じ制度の中で仕事をする(奉仕する)人たちの間に、コミュニティを創り出す。

資生堂の社長・会長を務めた池田守男氏の『サーバント・リーダーシップ入門6』によると、池田氏は社長に指名されたとき、自分が全社員を支える気持ちを全面に押し出し、それが社員にわかってもらえれば、経営改革に伴う痛みや苦しみを一緒に乗り越えられると考えたそうです。

そして、サーバント・リーダーを自らのスタイルとして表明し、会社組織の実践の運営では逆ピラミッド型を「型」とし、その「精神」をサーバント・リーダーシップとして定め、社員を率いてきたそうです。

池田氏はその経験から、改革にはサーバント・リーダーシップとトップダウン・リーダーシップの両方が必要であると強調しています。

つまり、導くために「理念・信条・方針」をトップダウンで語り、日常の実践においてはメンバーの成長のためにサーバントの精神で奉仕する。この2つのリーダーシップが、サーバント・リーダーの中に矛盾せず存在し、「奉仕して導く」のです。