プロローグ

この世に争いがあるとすれば、何かを欲する強欲な者たちがいるからだろう。

この世に争いがないとすれば、この世の者たちが愛で満たされているからなのだろう。争いがなく、人々が助け合い、そして、何より他人に敬意を払い、愛を感じられるからなのであろう。

もしこの世が争いで絶えなければ、人々は苦しみ、苛立ちを覚える。それは、怒りや憎しみ、恨みと化し、その者たちを争いへ駆り立てる。そして、その者たちによって苦しめられた者たちは、自らを苦しみへと誘った者たちへの復讐を誓う。その者たちが再び復讐することで、それが繰り返されていく。

もし、それがなくなればどうなるのだろう。人々は平和に暮らせるだろうか、それともまた別の苦しみが人々を苦しめるのか……。