冬よりかなり和らいだとはいえ、根釧原野の春の早朝はまだ冷え込み、コタンコロカムイは冷たさを頬に感じている。早朝の空をコタンコロカムイは飛翔している。コタンコロカムイの眼下には、いくつかのコタン(アイヌ民族の村)が見えている。朝餉(あさげ)の準備だろう。囲炉裏からの煙が見えている。突然、見たこともない人間たちが押し寄せ、木を伐(き)り始め、炭を焼く煙が上がった。そして、コタンが消えていく。そうこう…
[連載] ニシベツ伝記
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