君がもう少し大きくなって、色々なことが出来るようになると、これは何だろう、どうしてなんだろうという不思議なものやことが沢山増えてくることでしょう。

そんな不思議なことやものは、これから大きくなる君にとってとても大切なものになるはずです。私は君が何時までも、それに驚いて、どうしてなんだろう、なぜなんだろうと思ってもらいたいと思っています。

私も君ぐらいの時に、初めて蝶々を見たと思うのですが、その時のことを覚えていません。前は覚えていたけれど、忘れてしまったのかもしれません。でも少し大きくなって、蝶々に夢中になったことがありました。

君がもう少し大きくなったら、一度私の部屋の本棚を見てみてください。残っていたら色々な本が見つかるはずです。古いけれど蝶々の本も見つかるはずです。本を見付けて、目を輝かしている君を見たいものです。

それから追分の山荘に行くことがあったら、出窓の所を見てください。そのままになっているなら、そこに白い捕虫網があるはずです。それは君にあげます。

それからその横に、もしかしたらまだトンボのヤゴのぬけがらが見つかるかもしれません。それも君にあげますよ。机の上には虫や花の図鑑が色々見つかると思いますが、これもみんな君にあげますから使ってください。

蝶々の取り方はパパが教えてくれるでしょう。蝶々の見分け方と名前を、色々君に教えてあげられないかもしれません。それがとても残念です。

ガンバッテ、ダイジョウブヨ。どこか遠くから誰かの声がかすかに聞こえる。