第2章 なんとか一つの山を乗り越えた

その6 姉からの末梢血移植
─骨髄移植の一番の近道─

私の白血病治療もいよいよ最終の段階になりました。
11月30日から病院に再度入院して、造血幹細胞の移植へ向けた準備に入ります。

白血病の治療ではほとんどの場合、最終的には「造血幹細胞移植」を行います。これは、ほかの人の造血幹細胞(血液をつくる細胞)を自分の骨髄に移植して、正常な血液をつくれるようにする手術です。

その移植手術が12月8日に決まりましたので、その1週間前から移植へ向けた準備が始まりました。移植の準備とは、完全にがん細胞をやっつけるため、今までよりさらに強い「抗がん剤」を投与します。

これにより、がん細胞はほとんどいなくなりますが、正常な細胞もやられてしまうのと、今までよりも強い副作用が出てきます。副作用の主なものは、吐き気と口内炎だそうです。この吐き気と口内炎を予防するために、多くの薬と栄養補助剤を飲んだり、歯磨き後にうがい薬を口に含んだりします。

そして、12月4日から完全なクリーンルーム(個室)に移動しました。いよいよ造血幹細胞移植へ向けた用意に入ります。

2日前から抗がん剤の投与は始まっていますが、今日から「アルケラン」というさらに強い抗がん剤を投与するので、完全なクリーンルームでの治療が始まりました。今までの病室もクリーンな環境ですが、それよりさらに強力に無菌状態を維持した部屋になります。移植後に血球の数値が安定するまで、この部屋で過ごします。外出禁止。面会は家族のみとなります。

部屋のなかの様子は以前の個室とあまり変わらない見た目ですが、少し大きくなりました。大きさで言えば12畳くらいはあると思います。

しかも、天井の3分の2がエアコンの吹き出し口になっていて、クリーンな空気が大量に吹き出せるようになっています。テレビドラマであるような、透明のビニールのカーテンはありません。

しかし、この部屋では家族も入り口までしか入れないので、ベッドからは2メートルくらいの距離があって、見えないカーテンがあるようなものでした。

この部屋で手術まで過ごすのですが、移植直前の抗がん剤は副作用として「口内炎」が出やすいので、予防の薬を飲むことと投与の間に「氷を口のなかに入れてなめる」ということをしていました。