第1章 思いもよらない事態

その3 保険は大事ですね
─保険こそ、みんなからの支援です─

7月の末から始まった抗がん剤治療ですが、8月末に「外出許可」が出たので、京大病院の近くの東山三条に行ってきました。そのきっかけは、前日の午後、看護師さんに、「白血球の状況も良いようだし、外の天気も散歩するにはちょうど良いみたいだから、外出許可をもらって外を散歩してみたらどうですか?」と言われたことでした。

「えっ、外出ってできるんですか?」

私は驚きました。

「血液や身体の状況を見て、検査・治療の時間が空いている時間帯なら、主治医の先生にお願いしたら『外出許可』を出してもらえますよ」

そこで、私は東山三条に行くことにしました。なぜ、東山三条に行くことにしたかというと、その日は予防リハビリの予約が入っていたため2時間の外出しかできないので、病院から近くてしかも1年間過ごしていた東山三条を見てみたくなったのです。

妻と一緒に外出しました。バスに乗り、5分くらいで東山三条に着いて、「古川町商店街」を歩いてみました。懐かしい光景と新しいお店ができたのを楽しみながら眺めて、「六花(ろっか)」という喫茶店に入りました。

ここは何回か入ったことのあるお店です。ケーキセットを注文して、ゆっくり味わいながら久しぶりの「シャバの空気」を楽しみました。

その後、古川町商店街を折り返し、ここも何回も通った居酒屋「あゆや」に立ち寄りました。ここのお店は、私が2014年4月に初めて京都に住んだときに大変お世話になり、この店の常連客の皆さんから京都のことをいろいろと教えてもらった場所です。

「あゆや」に寄ってみると、女将さんが開店の準備をしていました。女将さんに私の現状を報告して、「また、すぐに復活して、この店に来ますので」とご挨拶をしてきました。ついでに、おいしいおばんざいを少し食べさせてもらって、時間になったので病院に帰って行きました。