第1章 思いもよらない事態

その1 その日は突然にやってきた
─楽しみはゆっくり積み重ね、悲しみは突然やってくる─

翌日の朝に、もう一度血液検査とエコー検査などを行いました。消化器内科の医師からは、

「肝臓や脾臓は少し腫れているが、これが痛みの原因とは考えにくいです。最初のCTスキャンの画像を見ると、リンパ腺がいくつか腫れているところが見られたので、午後からは血液内科で診てもらいましょう」

という話がなされました。私は「血液内科」とは初めて聞く名前だったので、これは何の病気だろうと思っていました。

午後、病室が血液内科の病棟へ移り、血液検査と骨髄液検査を行いました。この骨髄液検査というのは、背中の下側(お尻のあたり)の大きな骨である腸ちょう骨こつにボールペンの芯くらいの太い針を刺して、硬い骨に穴を開けてなかにある骨髄液を吸引して調べる検査です。

麻酔注射を打ってから開始されるのですが、刺すだけでもとても痛くて、さらに骨髄液を吸引するときは何とも表現しにくい痛さでした。白血病の治療で何回か行われる検査ですが、とても痛い検査の一つです。

採取が終わって、麻酔がとれるまで病室で約1時間は安静にしていましたが、この間の看護師や医師の言動に何かを隠しているような怪しい雰囲気を感じて過ごしていました。結局この日も病名はわからず、病院に泊まることになりました。

翌29日の午前中にもう一度血液検査と骨髄液検査を行って、午後に病名が判明しました。血液内科の医師から、

「お話がありますので相談室に来てください」

と言われて、私の妻と二人で相談室に行くと、そこには血液内科の主治医と担当医・看護師の3名がいて、私の病名と今後の治療方針についての説明がありました。

「病名は、急性リンパ性白血病です」
と淡々と、しかし丁寧に話をされました。

「えっ!」

病名を聞いたとき、妻は小さな声で驚いて、私の手をぎゅっと握りました。私も心のなかで「え~~っ!」と驚くとともに、これまでの3日間のいろいろな検査を見ていて「やっぱり、そうだったか」と少し納得したところもありました。

治療方針の説明では、抗がん剤治療が3~5回くらい必要なこと、最終的には造血幹細胞移植(いわゆる骨髄移植)が必要なこと、そして退院しても再発の危険があり、一生この病気と付き合っていかねばならないことなどが説明されました。