(3)思いやり

相手の幸福を考える、積極的関心のことです。「何が相手の幸福につながるのか?」という視点を失わないことです。時には、相手の要求と相手の幸福が相反する場合があります。

例えば、アルコール依存症の家族が、「苦しくてたまらないから、お酒を飲ませてくれ」といったとします。「お酒を飲ませてくれ」というのが要求ですが、このまま飲み続ければ、アルコール依存症から離脱できず、幸福にはつながらないことが明らかです。思いやりの視点からは、相手の要求はのめないということです。

(4)喚起

相手の持っている動機を引き出す態度です。相手の動機というのは、コップに水を注ぐように外から与えるものではなく、井戸を掘るように相手の中から引き出すものだということ。そのためには、相手が大事にしているもの、価値観について理解しようとする態度が必要です。ところで、井戸を掘るためには、地面を掘り進めなければなりません。掘削のための道具、スコップにあたるものが「対話」です。地面を掘るまでは、どこに水源があるのかわかりません。そして、相手も気づいていないことが少なくありません。

 

図は、「ジョハリの窓」と呼ばれるものです。お互いに知っている「開放の窓」に対し、対話を進めることで「盲点の窓」と「秘密の窓」を開放していくと、結果として、相手も自分も気づいていない「未知の窓」の領域が狭まっていく、つまり、自分自身でも気づいていなかった価値観に気づいていくということを表しています。