老いについて

「老い」はいつの間にか「抜き足、差し足、忍び足」で忍び寄ってきます。すでに横にいるかもしれません。ある日突然気付きます。生き年生きる物全てが経て行く道。「命」は植物を比喩に使うと分かりやすいし、私は好き。

蒔かれた種から芽が出て、蕾が膨らみ花が咲き、結実した種が飛び土に潜り、又次の年、その種から芽が出る、このように命は続いて行きます。花を活けておくと満開(ピーク)になった花は少しずつ色褪せてゆき、それからいくら水を変えても、水はけを良くしてあげても萎れてゆくだけ。萎れた花は庭の片隅にでも捨てるしかありません。

人の一生にも、蕾の時も花咲く時もあれば、結実の時もあり、老いもあります。この年(76歳)になると若葉のような若い人たちが輝いて眩しく見えてきます。肌の色艶はそれだけでかけがえのないものです。命の輝きとでも言えましょうか?

自分の中から「老い」を感じるようになったのはいつ頃だったかしら?

まず、歩く速度が遅くなり、道で人に抜かれると、必ず抜き返さないと気が済まなかった私、地下鉄の階段を一気に駆け上がるのも得意で、仕事がない日はジムにも通い、夕方は川のほとりを、早足で散歩するのが日課でしたが、それすら億劫になりました。スポーツ選手が引退するとき「体力の限界」と言いますが、これは本人だけが分かる感覚・自覚です。若いうちは頭より身体の方が早く動いてしまうので、身体の声、悲鳴に耳を傾けていなかったような気がします。

足腰が弱るのはあっという間。家の階段を上り下りするのが、いつの間にか辛くなり、居間で尻餅をつき、起き上がれなくなったこともしばしばで、こんな状態をフレイル(Frail)状態と言うのだそうです。庭でしゃがんで草採りをして、立ち上がれなくなり這って玄関までたどり着いたこともありました。思うように身体が動かなくなってくると身体の声に敏感になります。

身体は正直ですから、身体の悲鳴を聞き逃さないようにしてあげてください。フレイル状態に気づいたら、できるだけ体を動かすようにと心がけ、ヨガでも太極拳、ピラティスでもよいので運動の時間を作ってください。筋肉を増やすための食事(高たんぱく・低脂肪・減塩)の献立をお勧めします。筋肉は使わないと、あっという間に痩せてしまいます。

どうぞフレイル状態を放っておかないで! 筋肉は年齢を重ねても増やせますから。