二つの墓標
丹波 燐
出版社名:幻冬舎ルネッサンス新社
1946年、島根県益⽥市。
異国の海⾵に誘われるように⽇本に降り⽴った元兵⼠の韓国⼈・郭昌宇。
⾒知らぬ⼟地で出会ったのは、目の不自由な老婆“キク”と、⾔葉を知らぬあどけない少年“武”だった。
そんな彼らを⾒かねた郭は、帰国の準備を兼ねて二年半の時間を共にする。
郭の世話のかいあって、キクの目は治り、武も言葉が話せるようになっていった。
そして郭は、いつしか本当の父子のような関係になっていた武を残して、祖国へ帰っていく。
朝鮮半島では南北の対立が激化、戦争の足音がすぐそばまで迫っていた。
武は⾃分を助けてくれた“郭父さん”を求め、故郷を、そして⽇本を⾶び出していく。
出て朝鮮半島に駆け付けた武が⾒つけたものとは――。