自然治癒力

ヒポクラテスの「自然治癒力」説がすべての原点です。真理は一つ。他に存在しません。歴史上、最初に言及したのがヒポクラテス(前460-370)です。記録として遺っています。何を今さら、大昔の幻のような存在になっている人を……と、嘲笑する向きもあるでしょう。それも自由です。すべては、原点にあります。原点は、一つです。揺らぐものではありません。

人体の営み、生理の原点は「体液」であるとヒポクラテスは考えました。この体液に働きかけるのがドレナージュなのです。ヒポクラテスは、また人のからだに「手」で触れること、そして持つ全感覚をもってしっかり観察し洞察することの大切さをも説きました。自然治癒力は、「体液」に潜んでいるのですから。

「なぜ、ドレナージュの力はこんなにスゴイのか?」。

まさに原点に立脚しているからに他なりません。

「なぜ、ドレナージュを実践することで現代医学との矛盾に直面させられるのか、図らずも教えられるのか」。

医者でもない心臓が止まりそうになるほどの困惑、極度の緊張に落とし込められることも度々あります。人間の体は生身です。そういった反応は生きている体のパワーです。「自然治癒力」です。現代医学との乖離を教えてきます。解釈が真逆であったりするからです。ドレナージュは、生身の体との真剣勝負。全身全霊で行う施術なのです。

どんなに時を経ても真に大切なことは「父から子へ」の伝承で残るとするなら、2400年後の今ひとたび父の「誠」に想いを馳せてはいかがでしょうか。新しいものを求めて先へ先へ追いかけっこをしているかのように変容する中にいると、つい進歩していると思い込みがちになりはしないでしょうか。あなたの父を尊敬するなら、「医学の父」にも回帰してみませんか。きっと、大切な何かに気付くものです。その気があるのならですが……。

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『ドレナージュ大全』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。