京都に戻ってNissieさんのプロフィールを見直してみて、彼が年齢を書き加えていることに気づいた。
「一九五八年九月七日生まれ」
私より四歳年下だ。彼のほうも気になっていたらしく、翌日のチャットで「るまさんって、何歳なんですか?」と聞かれた。
覚悟を決めて、返事した。
「一九五四年十二月十七日生まれ。Nissieさんより四つ年上です」
「そうですか。年上だとは思ってたけど」
「どうして、そう思ったの?」
「なんとなく」
それで、心にひっかかっていたハードルが一つクリアできた。私からも質問した。
「Nissieさんは、一人っ子ですか?」
数秒あって、「そうです。よくわかりましたね」
「わかりますよ」
「チッ。なんで?」
「なんとなく」
「るまさんにはかなわないなあ」
そんなやりとりが、うれしかった。後に、結婚したい相手として博史のことを実母に話したとき、母から「あれだけ、一人っ子は嫌だ、とお見合いを断っていたくせに」と、あきれられた。
「一人っ子だと知らなかったんだもの」
いろいろな事情を知らないままに心が進んでしまったことが、きっと幸運だったのだろう。私たちは、幸せな出会いをした。