経過観察のため、私を含め、三人とも二週間その病院に入院したあと、日本へ帰国しましたが、驚いたことに三人とも事故の際に履いていた靴と着替えなどを入れたバッグなど、すべてが紛失していました。幸い三人ともパスポートはジャカルタ到着後すぐに会社の現地支社に預けていたため、日本へは何とか帰国できました。

成田空港到着後、われわれ三人は病院に直接連れていかれ、即入院の手続きがとられました。そこで改めて各人が精密検査を受けました。ここからは私自身のことについて述べることとします。検査終了後、担当医と、どこで何が起きたのか、などを話しました。

担当医は、「傷はかなりきれいに縫合されていて、縫い直しなどは必要ない。肋骨は二本折れていたが、すでに回復しつつある。舌の傷はかなり出血し、それが気管に流れ込んでいたようだが、それも含めて『舌の飲み込み』による窒息が起きなかったのは奇跡的です。『舌』の傷はまだふさがっていないので縫いましょう」と言われ、すぐに四針縫われましたが、それが驚くほど痛かったことを今でも鮮明に覚えています!

その後、経過観察のため二週間入院し、退院後はすぐに職場復帰したのですが、初日に多くの同僚に「足は付いているか、幽霊ではないよな」などと言われました。

聞いたところ事故後の現地からの第一報では、私は危ないとのことだったようで(実際、事故直後の取材による現地の新聞記事には、私は死亡となっていました)、皆さんかなり心配し、家族にはどう伝えようか頭を抱えていたそうですが、私からのコメントを聞いて一様にほっとしたとのことでした。