優香は、そのバレーの練習の相手チームにいた。

一部始終を見ていた優香は、偶然トイレで一緒になった時、泣いている佳奈を見て全てを察したと、後になって言われた。

それもあって佳奈は、このグループに『所属』するのを決めた。

優香は何かをあれこれ聞いてくるわけでもなく、でも佳奈から話せば聞いてくれるだろうという距離感が、佳奈にとってちょうどいい仲間だった。

でももしかしたら、優香はそこまで自分に興味がないのかもと思う時があっても、それはそれでいいか、とも思っていた。

どうせ後、数年……。

離れれば誰も自分を思い出さなくなるだろう。

佳奈は卒業するまで、目立たずただカウントダウンしていればいいんだと自分に言い聞かせた。

突然の雨に、皆んな誰かにメールしたり迎えを頼む電話をしている。

佳奈はこの場にいたくなくて優香にだけ、

【ごめん、先に帰る】

とメールを送った。

【了】

とだけ返事が来ると、佳奈は立ち上がって、

「皆んなごめん! 先に帰るね」

「ええーっ⁈ 雨、凄いけど?」

「マジで濡れるって!」

皆んなが引き止めてくれる中、

「いーの。佳奈のお母さん、確かこの近くで働いてるんだよね?」

優香の素早いフォローに甘えて、

「そ、そうなんだよね。ごめんね」

「そうなの? いいなぁ」

「じゃぁ、気をつけてね〜」

「うん、また明日」

そう言って、テーブルの端っこの丸まったレシートで自分のジュース代を確認して、横にいた真里奈にお金を預けて足早に出口へ向かった。

店のガラスのドアを押し開ける前に、一度振り返って両手を合わせて「ごめん」と呟きながら皆んなを見たら、一番奥の席のカップルが勝手に視界に入ってきた。

二人がテーブルに頬杖をついて笑っているのを見て、 

「ばっかみたい……」

と呟いて店を出た。

空を見上げて雨を確認すると、湿気や風が佳奈の髪や制服を肌にまとわりつかせた。